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子供と一緒に 市内で一番広いといわれている本屋さんにいってみた。一階は通常の書店形式ですが、２階は子供用の絵本・学生の参考書 それとちょっとしたコミックが置いてあるスペースとなっていて 結構楽しめるようになっている。親が１階で本を探している間、子供が２階で絵本を見ているという趣向なのだろう。
ここで、彼らに欲しい本を探させている間、隣りの参考書売場で、高校生対象の歴史問題集を見てみた。パラパラとめくってゆくが、思ったより難しい。「それでは」という事で、明治の部分を開いてみて 愕然としてしまった。
判らない。ちっとも判らない。１問目は、私設憲法の条文の一部が掲載されていて この憲法案は誰が作成したものか？という質問。下に数名書かれていて 大隈重信とか植木枝盛とか中江兆民・四日市憲法・・・・・等々から選択するようだ。
２問目は、明治憲法の問題で、「大日本帝国は〇〇〇〇の天皇之を統治す」をはじめとする いくつかの条文が掲載されていて、空欄を埋めよという問題。（上の〇〇〇〇の部分）
恥ずかしながら、ひとつもわからなかったのである。上の答えは勿論「万世一系」なのだが、こんな風に文章で示されてその空欄を答えよという問題を出され、一瞬とまどってしまいわからなくなったのかもしれない。逆に 覚える必要を感じていなかったので「うろ覚え」だったのだろうか？
私は 正直 中学−高校と歴史が大嫌いだったのである。今となっては運命の皮肉を感じてしまうが 嫌いなものはどうしようもなかった。そして その原因をあらためて思い知らされた。「歴史の時間は『暗記力』の勝負だった」と。『暗記力』によって これらの一字一句を覚え、個人個人の名前と重要な業績を丸暗記。誰が、どんな本を書いたかに始まって、××戦争は〇〇〇〇年に△△△が引き起こした。云々・・・。そんな事覚えて、何になるのか？と、思っていた。だから 嫌い。もともと、暗記は得意なほうではなかったので ますます歴史は嫌いな科目となっていった。
同じ歴史でも 例えば歴史小説等は好きでよく読んでいた。特に幕末の時代は好きで 新撰組や坂本龍馬に憧れ 次々と読んだのである。そして思った。「歴史って本当はとても面白く ためになるものなのではないか」と。
歴史上の出来事、それぞれの年代や書かれた文章を丸暗記して 何になろう。そんな風に詰め込んだ知識って何になろう。（勿論、高校の歴史のテストや大学入試、あるいは「タイムショック」なら役立つかもしれない。しかし、それは知識だ。智恵じゃ無い。）例えば、１１９２年に源頼朝が鎌倉幕府を作ったという知識を 私はここ２０年間で一度も使った事が無い。これって、いったい何。
知識を詰め込む練習にはなろう。必要な物事を丸暗記するという頭の使い方は練習できよう。だから何。
勿論、そんな風に言えば 微分積分や因数分解だって、まともには使ったことが無い。ただ、私に言わせれば、それは「物事を筋道立てて考える癖づけ」の役には立ったようである。私の上司はよく「理論武装・理論武装」と言っていたが、「理論武装」するためにはまず、筋道立てた考え方をする必要があったから。しかし、教えこまれる歴史の内容は 何かに役立ったのであろうか？
「大日本帝国は万世一系の天皇之を統治す」という明治憲法の第一条があった。この内容を 歴史の問題にするなんて 私に言わせれば非常識もはなはだしい。それが、「万世一系」というその語句を書かせる内容であるなら なおさらだ。この「万世一系」という一語を伊藤博文らがどんな想いで想像したのかをわかっているのであろうか？日本を、世界の一等国にしたいという熱い想いが、ヨーロッパ各国の憲法の中から見出して 日本の国の実情と合わせて作り出してきた概念ではないか？その是非は別に論議するにしても けっして軽々しく問題にするような条文では無い。断じて無い。
「だれが どういった意味でこの第一条を造ったのか」とか、「この条文について、考えを述べよ」とか、「明治憲法におけるこの第一条の果たした役割は何だったのか」とか、「明治憲法と今の憲法とを比較して、そのおおきな違いを述べよ」とか色々な質問だって考えられよう。何故、「万世一系」という『言葉』を書く問題なのか？果して、この問題を作成した人はこの意義とその重要さを理解しているのだろうか？
「万世一系」というその部分だけを取り上げて、一冊の本をすら書き上げてしまう人もいる程のこの言葉だ。軽々しく扱ってほしくないのである。この一文が 日本をして明治国家をして「戦争への道をあゆませる」ひとつのきつかけになつたのだ。そういった点を考えずに、ただ「万世一系」という言葉を覚えて 何になろう。
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