題　名

松川事件５５年

日　付

2004年08月14日

概　略

松川事件をもう一度見直そう

　昭和２４年（１９４９年）８月１７日未明、福島県の松川駅から北へおよそ１．５ＫＭの地点で　上りの列車が脱線・転覆、運転手を含む乗務員３名が亡くなる自己が発生した。世に言う「松川事件」である。私の父は　若かりし頃国鉄（現在のＪＲ東日本）に勤務していた。この当時、父は国鉄の手伝いをしており　働き出して間もないころであった。その父もう７４歳になる。当時　犯人とされた方々はもう皆　定年退職して老後の生活を送っている。そんな今、「なぜ松川事件なのか？」と問われるとは思うのですが、いまだその真犯人は捕まってはいないのです。実際に　手を下した犯人、そしてそれを指示した人達は、こう言ってしまうと言葉は悪いのですが、余命残り少なくなってきています。その人達は　多分これ以降も　その重い口を開くことなく、その生を終えることになるのでしょう。そして、真実は闇の中へ消えていってしまうのでしょう。何とも、残念な限りです。

　以前から言われているように、この事件では２０人もの人物が選び出され、そして犯人とされました。これが　全くの出鱈目捜査であったことは今さら言うまでもありません。無実の　何の罪も無い若者を　自分達の都合によって犯人に仕立て上げ、そして死刑判決まで出させた。この事実は　消すことは出来ません。戦後の日本における最低、最悪のでっちあげ事件でした。しかも　驚いたことに何もしていない人物わ次々捕まえてきて「自白を強要させた警察の担当者と関係者」、および正常の判断力を持ち合わせていれば当然彼らが犯人でないことがわかった筈の「裁判官」のだれもが処分すらされることなく、それどころか出世して順風満帆な生涯を送ったのです。これは、忘れてはならない事実です。団結の力によって、全員の無罪を勝ち取った松川事件の人達、彼らの行いとその支援者達に対しては　限りない賞賛を送るべきです。しかし、何度も言うようですが、警察の関係者は　どうなったのか？それを忘れてはいけないと考えるのです。
　犯人を、こいつとこいつにして、そして　こいつとこいつを共犯として、誰と誰の役割はこうなって、・・・。全て警察の決めた筋書きです。その筋書きにそって犯人を逮捕していって、むりやり自白させて・・・。都合の悪い証拠は全て隠し、ありもしない事実を作り上げ。これが、戦争が終わって４年も経つ時期の警察のやり方でした。その基本は　戦前から何も変わってはいませんでした。あからさまな拷問が許されなくなったことを除いては。無実の者を２０人も逮捕しておきながら　何らの処罰すら受けなかった彼ら。それがほんの半世紀前の日本には公然と存在していたのです。

　それ以上に問題なことがあります。「真犯人は誰だったのか？」という事です。逮捕された人達以外の何者かが、実際にレールを取り外しで機関車を脱線させた。しかも、「レールを取り外す」という専門的な行為を行っている点から見て、それなりの技術のあるメンバーで行ったことは確かです。それは一体、誰だったのでしょう？そして、誰の指示でこういった行為を行ったのでしょう？ただ言えることは、確実にそういった歴史の影に隠れて悪い行為を行った者がいたという事、そしてその人達は多分その事実を明かすことなく亡くなっていってしまうだろう事です。

　「権力というものは常に見張っていないと悪い行為を行うものだ」とよく言われます。今、「そんなことは絶対にない」と　私達は言えるでしょうか？そして、マスコミの報道に踊らされない、真実を見極める目を持っていると断言できるでしょうか？