題　名

韓国併合を考える

日　付

2002年04月18日 2005年02月03日更新

概　略

日本はその事実を正しく見直す必要があると思うのである。

　「歴史　諸君」という雑誌を購入してきて　読んでみている。ご存知のように「諸君」は、文芸春秋系の雑誌ですので　その内容は想像していたものでした。やはり、彼らの歴史認識には驚かされる。「皇国史観」や天皇の「万世一系」を否定する考えを　「マルクス主義である。」と断定し、事細かに　マルクス主義を否定してゆく。一見して　筋道だてた論理的な文章であるように見えます。たとえば、大塚久雄氏の書かれた文章に対して　「ここがおかしい」「ここが違っている」といったこまかい点を根掘り葉掘りあげていきます。このような文章をなんの偏見もなく読んだ人は　どう考えるのか？を想像すると　恐ろしささえ感じられます。
　そもそも　歴史のいくつかの思考を取り上げて、これは「『マルクス主義』だから。」とか、「これは『共産主義』だから」とまとめあげて、概論でその問題をこまかく論破しようという発想自体がすでにおかしな考えであると思うのです。明治のことをあげて考えるならば　「なぜ自分たちはこれほど働いても貧しいのであろうか？それは　一部の特権階級の者達を養っていかねばならないからだ。もっと、自分達労働者にも多く分配しろ」と話しただけで　『主義者』だときめつけられてしまう社会。そんな歴史を思い起こさせるほどの　断定的なものの言い方が　この本の中ではごく普通に話しされている。
　これって　何かおかしいんではないだろうか？もっと、多くの考えや思想が　そこに存在してとしてもおかしくは無いはずではないだろうか。そういった枠組みに嵌め込もうとせず、もっともっと正しい日本の歴史というものを　正しく（先入観を持たずに）見れないものだろうか。そんな意味から　今回は韓国併合にスポットを当ててみたものです。

　「新しい歴史教科書をつくる会」で　一気に有名となった西尾幹二氏は、韓国に対してこう述べている。「・・・この点について韓国の方々はなにか大きな勘違いをしている。・・・そして朝鮮半島を巻き添えにしたことは今からすれば愚挙であり、遺憾であるが−−−当時として他に仕方のなかった・・・・」（新しい歴史教科書「つくる会」の主張−韓国の人々への手紙−西尾幹二著より引用）。これが、日本による韓国併合の事実を述べた文章である事は明白であろう。彼はこの後で　「中国に支配された事実について、韓国の人がこだわらないのはなぜであるのか」（引用は同上）とも述べている。韓国を併合した事実を「仕方なかった」と言いその上「中国との場合はどうなのだ」と開き直っている。こういう事をしたのは　「日本だけではないのだ。」と、本来は言いたいらしい。しかし、「仕方ない」の一言で済ませられるほど単純で簡単な問題なのであろうか。

　私自身もその具体的な内容を「よく理解していなかった」と　述べねばならないであろう。韓国併合は　「韓国を植民地にしたのでは無い」という事を理解してもらいたいのである。植民地ならば　そのほうがまだましであったろう。日本は韓国という国自体を永久に消し去る魔法を使った。つまり　「韓国という国を無くして日本にしてしまった」のである。ここは間違ってはいけない重要な点なのでよく理解してほしい。日本は　韓国人からその姓名も歴史も　母国語も　そしてその韓国国民としての誇りすらも奪い取ろうとしたのだ。あと　何が残るというのであろうか？山河か？しかし、それは韓国の国民が住んではじめて韓国たりえるのであって　形だけが残ればいいというものでは無い筈。日本は　韓国の人達に対して　償っても償い切れないほどの大きな『心の傷』を残してしまったのだ。韓国の人達の『人格を破壊』してしまったのだ。

　「『世界人口の過半は有色人種である。しこうして、またその半分は純然と白色人種の支配の下にありて、真の不羈独立として存在しあるは日本人八千万余だけである。この日章旗の庇護の下に、有色人種ただ一つの独立国家として生存することは、お互いの光栄・名誉とし誇りとすることにして、何ら不足も無きところにして、鮮人輩（朝鮮人のこと）のかれこれ不足がましきこと言うあるは、実に不可解の極みである。』（『宇垣一成日記』昭和二年八月二十日日付、五九六頁、一九六八年、みすず書房）
　彼は、何故朝鮮人が日本人であることを光栄に思わないのか、本当にわからなかったらしいのです。つまり、彼らにしてみれば、当時日本は五大大国の一つだ、万世一系の天皇をいただくこの栄えある日本人にしてもらったのに、なんの文句があるのか、ということになるのです。・・・この紀元節に、天皇陛下が温かい思し召しをもって、朝鮮人にも日本式の氏を名乗ることを許して下さった。朝鮮人よ、ありがたく思え。・・・」（筑摩書房　歴史と真実−皇民化政策−宮田節子著より引用）
　せっかく日本人にしてやったのに　「それをありがたく思わないのは　その個人の頭がおかしいのではないか？」という風に　陸軍大将の宇垣一成が考えていた事がわかります。これが、韓国を併合した後の日本人の感覚です。これを読んでどう思うでしょう。どちらの頭がおかしいと考えるべきなのでしょうか？
　確かに、当時の日本の置かれていた逼迫した状況は理解している積りです。だからと言って　それは韓国を併合してよいという理論にはならない筈です。日本はロシアを恐れながら　恐れるあまりロシア以上の事態を韓国に引き起こしてしまった。この点について　「つくる会」関係者や「諸君」に文章を書かれている方々は　どんな反論を行えるのでしょう。やはりそれも　「仕方なかった」という一言で済ましてしまうのでしょうか。

　先日ＴＶで「光山文博」氏という２４歳の若さで特攻隊員となって南の海に消えていった一人の青年の話を放映していた。彼は、韓国人で本名は「タク　キョンヒ」である。彼は　ある食堂の女将さんと懇意になって最後の別れの時に「アリラン」という歌を歌ったという。はじめは日本語で　最後に韓国語で歌ったという。韓国人でありながら、日本に連れてこられて　その上特攻隊員にされた彼の苦悩。その全てを母国語で歌を謳う事で伝えたかったのであろうか。その心を　私は想像すら出来ないでいる。しかし、こういった苦悩を　罪も無い彼らに背負わせた罪を　私達は忘れてはいけないのではないだろうか。そして　こういった事実を正しく、未来を背負っていく若者に伝える事が　我々には必要なのではないだろうか？
　「良い所だけを摘み取りして　奇麗事を並べた歴史−教えたくない　あるいは知られたくない過去を抜き取ってしまった歴史−を若者に教え込もうとする勢力に屈してはならない。」そんな風に想うのである。そして　それが真の愛国心を育て、本当の日本の将来の姿を作っていく事に繋がるのではないでしょうか？

※　文中「朝鮮人」という文字が見えますが、引用した文章に含まれたものです。引用する文章には　手を加えたくないのでそのまま引用させていただきました。予めご了承下さいますようお願い申し上げます。　

　先日ホームページをご覧になられた方から、「特別特攻隊員はすべて志願制で補われていた筈です」というご指摘をうけました。この件について調査したところ以下のような資料がみつかりました。
　「・・・一九四二年一〇月、海軍省は初めて、徴用朝鮮人労務者を使用することに決定した。それでも日本語を十分に理解できる男子と、『危険思想』の持主だった記録がないものに限定して、採用された。しかも、三〇歳以下で独身者に限って選ばれた。海軍省は、男子五二〇三人を募集する計画であった。海軍省は、協和会の組織を利用して、勧誘通知を配布する前に、対象者を詳しく調べ上げた。およそ一万七二〇〇人に試験通知書を発送したが、七〇〇〇人以上が、試験場に現れなかった。試験に現れた九八一六人のうち、たった四二九三人だけが軍属として労務につくことになった。・・・・」（リチャード・H・ミッチエル氏著「在日朝鮮人の歴史」P１０７より引用）
　これによれば、朝鮮の方がむりやり特攻隊員にされたという文章は　間違いかもしれません。ただ、今後別な資料を手にすることができるかもしれませんので、今後も調査を進めてゆくようにいたします。今後とも　何か気づきの点等ありましたら　ご連絡ください。